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歯周病治療

歯周病とは骨が溶けていく病気です

歯周病とは歯茎や歯肉の病気だと思っておられる方が非常に多いのが現実です。
しかしながら実際に歯周病とは、歯を支える大切な骨が溶けていく自覚症状のない恐ろしい病気なのです。
歯を失う原因で最も多いのは実は虫歯ではなく、歯周病なのです。
まずはご自身の歯周病の状態をあらゆる角度から知ることが大切です。


歯周病セルフチェック

1つでも当てはまったら歯周病の可能性があります。歯科医院での早めの受診をお勧めします。

歯周病セルフチェック

□ 最近、歯が長くなってきて隙間がある
□ 歯ブラシをした時に出血する
□ 歯並びが悪くて磨き残しがある
□ 歯軋りをしている
□ 口臭が気になる
□ 抜けたままにしている歯がある
□ 揺れている歯がある
□ 水を飲むとしみて痛い
□ 歯茎に痛みがある
□ 口内炎ができやすい


歯周病の予防方法

歯周病の予防には、テレビCMでもございますとおり、プラークコントロール、つまりプラークを確実に取り除くことが最も大切です。
その方法として正しいブラッシングをすること。

では、「私はきちんと毎日ブラッシングをしているのに…なぜ?」と思われる方が多いと思います。
それに、成人の実に約80%が歯周病ということですが、その方々全員がブラッシングをしていないとは考えられません。
それではほとんどの方がブラッシングをしているのになぜ歯周病にかかってしまうのでしょうか。
その最大の理由は、きちんと磨いているつもりでもきちんと磨けていないのが実状だからです。

つまり、「磨いてる」ということと「磨けている」ということは、行為は同じでも、結果は全く違うということです。

ここで皆さんに質問します。

  • ご自分に合った歯ブラシをお使いですか?
  • 古い歯ブラシをいつまでも使い続けていませんか?
  • 歯ブラシの持ち方は正しいですか?
  • 正しい位置に歯ブラシが当たっているでしょうか?
  • 磨く順序は適切ですか?歯磨きに要している時間はどのくらいですか?

多くの方は、いわば自己流でブラッシングを行なっており、磨いていても磨けているつもりになっているといえます。

たかが歯ブラシ、されど歯ブラシなのです。

ですから、気軽に相談できる歯科医師を見つけ、ご自分に合ったブラッシングの方法を教えてもらい、それを続けていくことが大切です。
そうすれば、自然にきちんと磨けることにつながっていくわけです。

ここでは基本的な2つのブラッシング方法をお話しします。

バス法

歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目に45度に当てその位置で振動させる

スクラッピング法

歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目に90度に当ててその位置で振動させる

また、歯ブラシでは磨けていないところは歯間ブラシやデンタルフロス、部分磨き用の歯ブラシなどの補助器具も併用することが大切です。


歯周病の主な原因について

歯周病の主な原因は、歯磨きが適切に行われなかったことにより、食べかす 等の汚れが歯面に付着し、細菌が繁殖することです。
つまり、歯周病は 歯周病細菌による「感染症」なのです。

生まれて来た赤ちゃんの口の中には、歯周病細菌はまったく存在しません。
ほとんどの場合、家族間から感染します。
例えば、若年性歯周病の原因菌とされている『アクチノマイセテムコミタンス菌』は、大人から大人へと感染することはなく、まだ永久歯が生えそろわない、10歳程度の時期に大人から子供へ感染することが最近の研究により報告されています。


バイオフィルムとは

バイオフィルムとは

バイオフィルムは、台所やお風呂の排水管のネバネバした部分で、細菌が菌体外多糖という物を作って堆積した非常に取りにくい細菌の固まりです。

つまり歯周病の原因であるバイオフィルムとは、お口の中にあの台所のネバネバとした細菌の塊がある状態といえます。
バイオフィルムの中には、虫歯や歯周病の原因菌が多数存在しています。

ではどうしたら、このバイオフィルムを除去することが可能なのでしょうか?
答えは簡単。歯ブラシやフロス等で機械的にこすり、除去することです。
しかし、歯ブラシだけで完全にバイオフィルムを除去することはできないと言われています。
特に歯周ポケットの内部には、歯ブラシは届きませんのでバイオフィルムの内部の細菌を除去することはできません。
歯周病を治すには単に消毒したり、その部分に薬を入れるだけではなく、このバイオフィルムを専門的に除去していく必要性があるのです。


バイオフィルムと歯周ポケットとの関係

軽度の歯周病

ポケット(歯と歯肉の境の溝)が3~4mmとなります。
歯と歯肉の溝に細菌が集まり、バイオフィルム が形成されると細菌が放出する酵素により歯肉に炎症が起こり、歯周ポケットができます。
いわゆるこの段階が軽度の歯周病段階です。
この段階であれば、歯科医院での歯石取りやクリーニングで治すことが十分可能です。

中度の歯周病

ポケット(歯と歯肉の境の溝)が概ね5~6mmになります。
ポケット内部でバイオフィルムが増殖すると、細菌を食べる多形核白血球や抗体が登場します。
白血球は酵素を分泌し、細菌を攻撃しようとします。
しかし、細菌はバイオフィルムのバリアーにより保護されているため、白血球の攻撃を受けません。
逆に白血球が出す酵素により歯肉が破壊され、歯肉の炎症はさらに拡大します。

重度の歯周病

ポケット(歯と歯肉の境の溝)が7mm以上になった状態です。
免疫細胞や抗体は細菌を攻撃し続けますが、バイオフィルムのバリアー効果により、細菌はダメージを受けません。
それどころか バイオフィルムは どんどんと巨大化して行きます。
その結果、炎症は深部へと進行し、歯周ポケットはさらに深くなり、最終的には骨の吸収(溶ける)が始まります。
こうなると歯を支える骨がなくなってきて、ついに歯がグラグラしてきます。
最終的に歯が抜け落ちてしまいます。


歯周病と全身疾患の関係

歯や歯ぐきの健康は口の中だけでなく全身と関係しています。
口の中には何百種類という細菌が生息していますが、口から体の中に入り込むとさまざまな病気(心臓病、肺炎、糖尿病、早産等)を引き起こすことが知られ、医科でも問題になってきています。
歯周病をたかがお口の病気とあなどってはいけません。
歯周病の人が心臓病になる確率は2~3倍にあがります。

肺炎

歯周病菌が肺に感染し肺炎になることがあります。

心臓病

重症になると歯周病菌による炎症から血栓(血の固まり)ができやすくなるため、動脈硬化を招き心筋梗塞(しんきんこうそく)や狭心症(きょうしんしょう)などを引き起こすことがあります。
また心臓の内側にある心内膜(しんないまく)の炎症を引き起こし、細菌性心内膜炎(さいきんせいしんないまくえん)になる場合もあります。

糖尿病

歯周病が糖尿病を引き起こすだけでなく、糖尿病の患者さんが歯周病にかかっていると血糖コントロールが難しくなり、さらに悪化してしまう可能性があります。

早産

歯周病菌による口内の炎症が胎児の成長に影響し早産を引き起こすことがあります。
歯周病の妊婦は、歯周病でない妊婦と比べて、早産や未熟児を出産する確率が7倍にもなるといわれています。


当院の歯周病治療

丁寧な歯石除去~スケーリング~

超音波スケーラーと言われるマイクロ振動と水圧により歯面や歯根面に付着している歯石とともにこのバイオフィルムの除去を行います。

歯周病治療の基本 ~ルートプレーニング(SRP)~

歯周病治療の基本 ~ルートプレーニング(SRP)~

ルート(歯根部)プレーニング(平らに)とは、スケーリングによって、歯根表面の歯垢によって汚染・軟化したセメント質や象牙質を除去した後に、歯根面を硬くなめらかな面に仕上げることをいいます。
ルートプレーニングにより、歯の表面が滑らかになることで、歯根部に歯石がつきにくくなり、さらなる歯周病や虫歯の予防にもなります。

歯周外科治療(フラップオペレーション)

『フラップ・オペレーション』とは、歯周病の初期治療である『ルートプレーニング』の後に行う治療です。
歯周外科処置というとちょっと恐い感じがしますが、治療自体は『ルートプレーニング』とさほど変わるものではありません。
一般的に 初診時に6mm以上の歯周ポケットがあった場合には、再評価の時点でもまた問題が残る可能性があります。
問題(歯周ポケットがある)があるということは、まだ歯肉の内部に汚れや歯周病細菌が残っているということです。
細菌を残したまま、治療を終了すると必ず再発してしまいます。
つまり、『フラップ・オペレーション』とは『ルートプレーニング』では取りきれなかった深い部分に存在する汚れや歯周病細菌を取除くことになります。
『ルートプレーニング』と違うところは歯肉に切開を加えることです。
切開をすることにより、歯肉の深い部分まで直視することが可能になります。
治療自体は麻酔を行いますので、痛みがあることはありません。
しかし、個人差はありますが、治療後に腫れる可能性があります。
重度の歯周病の場合は、この『フラップ・オペレーション』を行わないと歯周病は治りません。

骨再生治療

前述で歯周病は歯肉の病気ではなく、顎の骨を溶かす生活習慣病だと申し上げました。
顎の骨がなくなると、当然歯が抜け落ちてしまいます。
そこで、前述の歯周外科治療を行い場合によっては顎の骨の再生治療が必要になることがあります。
当院では、この骨の再生治療として「GTR法」「エムドゲイン法」の2つを行なっております。
以下にこの2つの治療法をご説明いたします。

GTR法

歯周病で溶けた歯槽骨などの歯周組織は、その原因菌を除去すれば再生しようとします。
しかし、歯周病に罹患した部分をクリーニングした後に何もせずそのまま治癒を待つと歯槽骨が再生する前に歯肉が再生し、歯槽骨の再生を阻害してしまいます。
そこでGTR法とは歯周ポケット内部を清掃した後にメンブレンと呼ばれる生体適合性に優れている人工の膜を設置し、外からの歯肉が入り込まないようにし、メンブレンの下で歯槽骨をゆっくりと再生させていく治療法です。
新たに再生した歯槽骨は時間の経過とともに成熟し、完全にもとの組織と同じ位の成熟度に達します。

エムドゲイン法

エムドゲイン法は、上述のGTR法と同じく、歯周組織を再生させる治療法です。
GTR法では、歯肉が入り込むのをメンブレンという人工の膜を用いて阻止しますが、エムドゲイン法では、エムドゲイン・ゲルという薬剤を患部に入れ、歯肉の侵入を防ぐと同時に歯周組織の再生を促します。
このエムドゲイン・ゲルは時間の経過とともに歯周組織の再生を促しながら吸収されていきますので、GTR法のように後からもう一度メンブレンを取り除く手術を行う必要はありません。
※GTR法もエムドゲイン法も重度の歯周病など症状によっては適さない場合もございます。


最後に歯周病は治るのでしょうか?

最後に歯周病は治るのでしょうか?

現在、歯周病の患者様にとっては、『歯周病は本当に治るのか?』ということは、最も気になるところだと思います。
まず始めにその答えからお話します。
中度までの歯周病であれば、十分改善します。
治療や状況しだいで、重度の歯周病であっても改善する可能性はございます。
つまり骨再生治療を行えば、骨の回復(再生)もかなり行えるということです。

しかし、あまりにも非常に進行した歯周病の場合には、残念ながら治りません。
やはり歯周病も他の病気と同じく、早期発見・早期治療が重要であるといえます。



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